何が民にとって最もイヤなものかって、政商との結託のような
権力犯罪まみれが横行することが、もっともイヤなことだ。
それと比べれば、軍事政権が権力犯罪の横行を厳重に
取り締まってくれている世の中のほうが、まだマシというもの。
春秋戦国時代において、最終的な覇者となった秦国も、さして軍事面で
優れた要素があるわけではなかった。秦帝国末期の将軍である章邯も得意として
いたような物量投入での一点突破などが基本で、兵法の研鑽という側面で
呉や越などよりも秀でていたなどということもない。ただしかし、秦国が他と違って
いたのは、政商や食客や縦横家のような権力犯罪者を国家ぐるみで多用することに
長けていた点で、その素養によって秦も全中国を征服支配する帝国となるまでに至った。
ただ、征服統一後の秦帝国の為政たるや、戦国時代における王侯の統治以上にも苛烈で
民を痛め付け尽くすものだったことから、民衆レベルの反乱によって帝国もあっという
間に瓦解し、国家社稷も項羽らによって徹底的に破壊され尽くされることとなった。
秦帝国や項羽の後を継いで漢帝国が興ったが、これは文武両道の統治とでもいったもので、
高度な学問によって武威を統制することで、為政の清浄さを保ち続けるものだった。
これはこれで為政者自身が多大なる負担を強いられるという側面があったが、
権力犯罪まみれや軍事支配一辺倒などと比べれば、遥かにマシなものだった。
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