読書は本当に「毒書」なのだろうか。
しかし,本書のその先を続けてよく読んでみると,思索を伴わない読書は慎むことを警告しているように思われる。思索
を行わないで多読をした場合には,そのようになるのであって,熟慮を重ねていけば,「読まれたものは,真に読者のものと
なる」(92ページ),続けて引用すれば,「絶えず読むだけで,読んだことを後でさらに考えてみなければ,精神の中に根をお
ろすこともなく,多くは失われてしまう」(同箇所)というのである。真の意味での読書の心得を教え諭すような言葉であ
るが,読んだものを自分の精神の中にとどめおくためには,「重要な書物はいかなるものでも,続けて二度読むべきである」
(99ページ)ということになるのであろうか。二度目になると,確かに全体のつながりが分かって,個々の箇所の理解も深
まってくるし,その個々の箇所をめぐって思索を重ねていくことにもつながっていく。また読み終わって,もう一度読んで
みたいと思う本に出会うと,二度目にはさらに思索が深まっていく。二度と言わず,三度,四度と繰り返し読みたくなるよう
な,そのような内容の本に出会いたいものである。
https://www.lib.tokushima-u.ac.jp/m-mag/mini/136/136-1.htm...
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